『産みたいのに産めない 卵子老化の衝撃』を読んで

  • 投稿カテゴリー:書籍
You are currently viewing 『産みたいのに産めない 卵子老化の衝撃』を読んで

不妊関連の本を読むとそういったテーマを選んでいることもあってか、この本もしくは本元のNHKスペシャルの番組を引用している記述をいくつか見かけました。2012年と少々年月は経っていますが、「卵子の老化」という言葉が世に出るきっかけとなった番組ということで読んでみました。

そこに書かれている不妊治療の苦しみは想像以上でした。
私は39歳と高年出産でした。幸運にも自然妊娠だったので不妊治療の経験はなく、同僚や親せきが治療している経験談を聞きましたが、ある程度自分で時間をコントロールできる仕事だったので、彼女たちは恵まれていたのかもしれません。仕事の両立ができずに退職した女性が4人に1人という事実も驚きです。

歯がゆく思ったのは、不妊の原因の約半分は男性なのに、女性ばかりに負担がのしかかること。しかも、調査によると男性不妊の多くが乏精子症と診断されるそうですが、そのうち71%は治療をしてなかったそうです。
病院に行くのもたいがい女性一人。女性が検査を重ねて原因が見つからず、やっと男性が病院に足を運び男性に原因があることが分かった時には、もう女性側が間に合わなかった、という事例も悲しすぎます。本来一緒に頑張るのが夫婦だと思いますが、そのパートナーの協力が得られなければ、孤独に陥るのも当然といえば当然ですよね。

こうした状況を先進国を中心とした調査で日本のヤバさを浮き彫りにしたのが英国カーディフ大学のジャッキー・ボイバン教授。
「知識なく、議論もしない日本人」と語り、「日本人は未来を生き延びられない」と警鐘を鳴らしています。彼女は個々人を責めているのではなく、社会全体のあり方、教育が不足している点を指摘しています。

確かに日本では彼女の言うように、不妊の事を話すこと自体がタブー視されているように思います。周りに気兼ねなく自分が不妊であることを話せればもっと楽に治療も受けることができるのではないでしょうか?
勇気を出して会社に告白したら、「実は私もそうだった」と周りの協力が得られるようになったということもあるそうです。
確かに6組に1組の割合で不妊のカップルがいるのだから、お互いが知らないだけで、身近に経験者がいても不思議はないですよね。

厚生労働省のウェブサイトにこんなものを見つけました。

会社の規模によっては、不妊治療をサポートするような制度があるでしょうが、そうでないことのほうがも多いだろうと想像します。
たとえ組合がない会社でも厚労省が支援している取り組みをまったく無視するわけにはいかないはずです。
このパンフレットを会社とのコミュニケーションのツールとして使ってみてはいかがでしょうか。

自分が不妊だったら、どこまでそれを告知するだろう?
私はそのあたりが日本人らしくないようで、恥ずかしいと思わず、おそらく必要な人には一人残らず話すと思います。
例えば、義母に「嫁失格だ」と言われようなものなら、「高血圧症のあなたは人間失格ですか?」と応戦しちゃうかも( `ー´)ノ
まあ、私の義母はそんな人ではないし想像上の話ですが。

アメリカもカナダも『不妊は病気』という認識だそうです。
日本の状況との違いは、『適齢期を過ぎての妊娠は確率が低く、出産もリスクが高い』という啓もうがしっかりと行われているらしく、ファッション誌のELLEで特集を組むなど、若い時からいつ頃出産に臨むのか考える機会があるようです。
ですから適齢期を過ぎて体外受精にトライするという件数自体が少ない、だから不妊の原因の比率は病気であることが多い、という背景も関係しているのでしょう。

さすがに厚生労働省もこのヤバさを感ずいているらしく、平成25年にリーフレットのようなものを作成し自治体に配ったりウェブにも掲載するよていだったらしい。内容は妊娠の仕組みや妊娠適齢期に関して、とあったので探してみました。
たぶんこのページの3.のことですね↓
動画『妊娠と不妊について』
「厚生労働省動画チャンネル(YouTube)」に掲載

うーん。いまいち感が漂います。今どきNHKでも制作しないようなお堅い内容。
データが豊富に提示されたのは認めますが、妊娠の仕組みや高齢の出産のリスクまでにとどまり、欧米のような人生設計のところまでは到達できていない。
第一、ひっそりとYouTubeに置かれ、視聴回数も1年で1573回って・・・。
おそらくリーフレットも作成されていないのでしょうね。
避妊のことは一生懸命学校でも教えるけど、不妊に関してはまったく触れない。
この状態だと、高齢妊娠、出産に苦しむ女性は後を絶たないではないか!!

最後にひとつだけ。
この本の内容は信ぴょう性が高いと感じるものの「卵子の老化を止める方法はない」と書いてありますが、そこに関しては異なった事実を聞いています。確かに35歳以上のある方の卵子は錆びたように赤茶色だったり、ある方のものは変形してつぶれたり、改善の余地がないように感じるのも無理はないと思います。

実は不妊を得意とするベテランの栄養療法カウンセラーと懇意にしていただいているのですが、彼女いわく栄養療法をした後の卵子は質が高くなっているというのです。具体的に言うと、39歳で採卵して凍結後、栄養療法実施後に40歳で再び採卵すると、1年老化しているはずの卵子の質が良くなっていると。

栄養療法はもちろん痛みを伴いませんし、始めるとどんどん体調がよくなるので楽しくなってきます。
体外受精、顕微授精に疲れたら、休憩がてら栄養療法にトライしてみてはいかがでしょうか?

** 定期的にセミナーを行なっております。 満足度100%の栄養療法セミナーはこちらから詳細をご確認ください **