内臓脂肪減少薬「アライ」を栄養療法から見たら

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内臓脂肪減少薬「アライ」が4月に発売されるとニュースで盛んに報道されていますね。

副作用の内容から、「リパーゼの働きを抑える薬なのね」とピンと来ました。

 

昨年の血液検査をきっかけに、私は膵臓が弱くなっていることを知りました。

そのちょっと前に、同い年の親友が膵臓癌で亡くなったこともあり、色々と調べたり考えたりしたことで、こうした勘どころが働くようになっているようです。

 

効果や副作用などの情報はメーカーが公表していますが、栄養療法の観点からも気をつけていただきたい点をまとめてみました。参考になれば幸いです。

 

【肝臓や腸に負担かかる!?】

 

個人的な見解ですが、膵臓にも負担があるのでは?と考えます。

 

つまり「リパーゼが正常に働いていないようだからたくさん作って放出しなくては」と体が考えて膵臓に負担をかけないとも限らない。

 

生体はフィードバック機構と呼ばれる、自動的にいろんな検知、判断をしています。

全ては解明されていないというより、わかっていることの方が少ないと感覚的に思います。

 

5年以上も前のことですが、N H Kの特別番組でも「内臓同士が会話している」という表現をしていて、もはや脳が命令を出している、という単純な仕組みにとどまらないと言っていたのが強く印象に残っています。

 

例えば、2型糖尿病の人はインスリンが出ていないわけではなく、インスリンの効きが悪いので食後の血糖をうまく下げられません。そのため、実は「効かないインスリンがドバドバ出ている」こともあるそうです。

 

私は昨年エコー検査で、膵臓に脂肪がついている疑いがあると所見にありました。

脂肪がある部分の細胞は正常に働きません。

機能が落ちているのに、一生懸命臓器が働かなければいけないなんてことは避けたいですね。

 

ましてや、未消化の脂肪が腸を通過するとそれだけ腸に負担がかかります。

だから水様便が出たり、便を伴う放屁(おなら)が出たりするのですね。

少なからず腸内細菌にも影響があるでしょう。

 

腸に細かな穴が空いている方(リーキーガット症候群)だったら、血中に本来存在してはないものが流れてしまうので、肝臓が解毒に必死になります。

内臓脂肪に悩む人の多くは脂肪肝もあると思いますので、肝臓にも余計な負担を強いるのではないでしょうか?

 

【女性は特に気をつけて】

 

リパーゼというのは脂肪を分解する酵素ですが、実はこの働きが弱まると栄養状態にも大きく影響します。

 

ビタミンには水溶性と脂溶性があり、脂溶性ビタミンは消化時に脂肪が分解されることによって初めて体内への吸収が活発に行われます。

 

脂溶性ビタミンはビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKです。

どれも女性にはとても大切な栄養素です。

 

ビタミンEは妊娠ビタミンと呼ばれ、妊娠の確率を高くし、妊娠の維持(流産の低下)にも貢献します。

ビタミンDも同様に妊娠に大きく影響することがわかってきていますし、妊娠後期に多くのビタミンAを使って胎児の細胞分化が行われることも知られています。

 

「産後の肥立ちが悪い」と耳にしたことがあると思いますが、まさにこの脂溶性ビタミンが不足することによって起こります。

 

妊娠前も妊娠後も当該薬の服用はよく検討すべきだと考えます。

 

そしてビタミンKは骨の形成に非常に重要な栄養素で、骨粗鬆症対策にもなる栄養素です。

 

その他、視力低下、冷え性、腎臓機能低下、皮膚が弱くなる、角質が多くなる、粘膜が弱くなる、消化器の不調、免疫力の低下、骨粗鬆症を誘発など、ここに書ききれないほどの影響の可能性が考えられます。

 

また、アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎の症状も憎悪する可能性も十分考えられます。

 

【サプリメントを無駄にしないで】

 

脂溶性ビタミンをサプリメントで補っている方も要注意です。

 

リパーゼ抑制により、サプリメントもよく分解吸収されずに排泄される確率が高まります。

脂溶性ビタミンのサプリメントは比較的高価です。

もったいないので、アライを飲む場合はその間は中止した方が得策だと思います。

 

優良なサプリメントだと、消化液がよく出ていない人でもしっかり吸収できるようにミセル化(乳化)された製品もあります。これはさらに、サプリメントが高価な上に、乳化成分がアライの薬の作用を弱めることになりえます。

 

薬とサプリメントでお金をたくさんかけたのに効果が得られなかったら悲しいですね。

 

【効果とリスクを検討する】

 

効果もプラセボ群(薬を服用していない人のグループ)との比較も公表されています。プラセボ群でも、食事や運動など生活習慣の改善を行ない、それなりに内臓脂肪面積も腹囲も引き締まったようです。

 

プラセボ群と投薬群との差が純然たる薬の効果だという視点も大切だと思います。

 

欲を言えば、「その副作用のリスクを上回る効果を自分は得られるのか」という観点で治験内容や添付文書を確認し納得した上で使用していただきたいと思います。

 

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